罠(わな)
私たちは、専門家の話を聞くことで、正しい判断が下されると錯覚する傾向
があります。でも実際には、専門家も人によって様々な意見を持ち、ある人
は「右」が、ある人は「左」がトレンドであると、主張しているなんて良く
あることです。
あるテレビ番組を見て、なるほど!と感心したことがありました。
詐欺師のお話しでしたが、200人の人に「○○株は絶対に上がります」とDM
を送り、さらに別の200人の方に「絶対に下がる」と送る。その予想が当たっ
た方のグループだけに、また同様のDMを送る...と、同様のことを数回繰り返
す。すると、最後に残ったグループの人たちには、詐欺師はまるで未来を予
測できると錯覚させることができるというものです。
詐欺師と専門家を一緒にしてしまい大変恐縮ですが、私たちが専門家を「占
い師」と勘違いしていることに問題があるのです。
また専門家の特徴として、過去自分の予想が当たったことだけを「私は〇〇
を予測した!」と自信ありげに語り、過去外れた予想(こちらの方が多いの
ですが)については一切語らないというものがあります。
専門家は、あくまでその分野の情報量を膨大に持ち、その人なりの分析に基
づき、《過去の事例》に基づきアドバイスを行うもので、決して《将来》を
「占って」いるのではありません。【但し書き】がたくさん書かれている契
約書のように、「過去の分析」によると、今までと「条件が変わらなければ」
等々の小さな文字を私たちは読まずに、鵜呑みにしてしまうところに問題が
あるのです。
さらに予想が外れたとしても、専門家は言い訳も上手です。なぜなら、「新
たな事象が付加されたことによって、こうなった!と言い換えるからです。
そこで重要なことは、専門家は専門知識を提供してくれる人であって、それ
を冷静に判断材料に使えるように、自分自身を鍛錬していくことです。
高いセミナー費用を払って、有名な先生のお話をありがたがって聞いて、
「そういうものなんだ...」と、納得して帰ったとしても、それを自分の【立
ち位置】に基づいて、どう料理するのかを考えられないのなら、ムダ金にし
かなりません。
罠とは、事前に仕掛けられているものです。そこに落ちないようにすること
を忘れないようにしてください。
島崎ふみひこ
異文化コミュニケーション研究所(R)
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