
Short Message
《2022年》
1.外国人への偏見

社長は単に号令を掛けるだけではダメで、強い信念と、リーダーシップを持って組織を引っ張っていかなければなりません。特に方向転換を図る場合、慣性に逆らうのですから、その反対派を納得させない限り、放置しておくと『慣性の法則』通り、元に戻ってしまいます。
組織の規模に寄りますが、ある程度以上の場合には、トップが責任者を選任し「それなりの権限」と「重い責任」を与えて実施することが求められます。残念なことですが、反対派の人材が選ばれてしまうと、上手な言い訳を並べることに時間と労力を費やすため、人選はとても重要です。
また、いつも書くことですが、そこで更に重要なことは、目的を明確にした上で、指示をすることです。そして、分かりやすい評価指標を準備することです。出島的な組織で失敗するほとんどの場合、この「目的」と「評価指標」が伝わっていないことが原因だからです。
人は単純な生き物です。叱られれば凹み、褒められれば有頂天になる。2022年の箱根駅伝で優勝を果たした青山学院大学の原晋監督は、辛い時に「あともう少しだ、君はヒーローになれる!カッコいいぞ!」と言って、学生たちを鼓舞したそうです。共通の目標と、それに向かう強い絆には、そんなリーダーの声が重要なのでしょう。
外国人を受け入れる皆さまが、インキュベータです。彼らの力をどう引き出すか、智慧を絞ることです。
必要性を感じないのは、使ったことがないからです。今では当たり前であっても、出始めの頃には、様々な風評に晒されるものです。カッコ良いと思いませんか?日本人と外国人が知恵を出し合って、一緒に仕事をしているなんて...。
皆さまの中に、そんな「カッコ良さ」が目覚めることを祈念します。
2.外国人には通じない

今は閉塾してしまいましたが、京セラの創業者、稲盛和夫さんは、経営者を対象とした『盛和塾』を開いていました。一切無報酬のボランティアです。その塾生は、日本国内に留まらず、ブラジル、アメリカ、中国、台湾に広がりました。
彼の教えは、金儲けのノウハウではなく、もっとプリミティブなものでした。
誰にも負けない努力をすること、従業員の物心の幸せを追及すること、強烈な願望を抱くこと、思いやりをもって誠実に生きること、夢と希望を抱き素直な心で経営をすること...といったもので、その教えに、日本人だけでなく、多くの国の人たちが共感し、心を清めました。
国籍や、人種、文化に関係なく、日本の心の文化は、世界の人たちに共感を生むものです。ですから、アナタの心が通じないとすれば、伝える方に問題があるはずです。相手を受け入れようとしない、相手を認めようとしない....、そんな人の言葉を誰が聞くというのでしょう?
会社にとって必要な人だと認められ、会社から求められていると感じていたら、「後ろ足で砂をかける」ような辞め方をする人はいないでしょう。仮にそんな輩がいたとしても、そんなのはちょっとした事故でしかなく、気にすることはありません。
カンパニーなのです。仲間として、補い合い、支え合い、力を結集するためには、何が必要なのか...皆さんは既に知っているはずです。
3.外国人、まるでよそ者

かなり以前、国際便の到着する東京国際空港(羽田空港)の入国管理のカウンターの上には、alian(エイリアン)と書かれていて不評だったそうです(苦笑)。
ペリーの来航のときも、赤鬼を模した似顔絵でした。
不思議なもので、同じような顔立ちのアジア圏の国々の人に対しては、私たち日本人は「外国人」という括りをあまり持っていません。私たちが一般的に「外国人」という言葉を使うのは、白人や黒人といった肌や目の色の違いの人たちに対してのようです。
つまり私たち日本人は、言葉や文化が違っていても、アジア圏の人たちであれば「外」の人たちだとは思っていないのです。
ということは、言葉や文化が障壁なのではなく、肌や目の色の違いに対して、畏怖の念を私たちは持っている可能性が高いということになります。心のどこかで(生理的に)怖いと感じているのです。
怖い、怖いと思うとより怖くなるものです。そう考えれば、「外国人」という言葉を使うから、怖くなってしまうとも言えます。
この「外国人」という言葉を使わない。それだけで、世界はガラリと違って見えてきます。
フランスから来た、アントワネットさん
中国から来た、ジャッキーさん
イギリスから来た、テリーさん
皆、仲間です。
4.何をさせたら...

《姑根性》とはどんなものでしょう?
出来の悪い嫁のアラが気に掛かり「あれができない、これもできない...」と小言を言う。新米のお嫁さんが、姑以上に家事や育児が出来るはずがないのは当然なのですが、自分の息子の出来の悪さを棚に上げて、嫁のできないところを指摘する。
「努力が足りない」だけならまだしも、「親の顔が見てみたい」と侮辱するような言い回しなんてしたら最後、人間関係は崩壊です。年を取って介護される立場になって、その嫁から愛情をもって接して欲しいと思っても、時すでに遅しですよね。
日本人でも、海外から来た人でも、大切なのは「人柄」です。日本語を習得できるよう努力させることは必要ですが、日本語が下手だからといって現場から遠ざけていてはいつになっても上手になりません。理解できないのでは問題ですが、理解できるのであれば、どんなに下手でも「大丈夫、頑張れ!」と肩を押してあげて下さい。お客様には、
「〇〇さんは、まだ日本語は下手ですが、仕事への熱意も、スキルも、お客様への感謝の気持ちも、日本人に劣ることはありません。温かく育ててあげてください。何かあれば、私がきちんと対処しますので!」
と、伝えてください。
愛を持って接していれば、必ずその愛はその人を育ててくれます。
人柄を変えることは並大抵なことではありませんが、言葉など上手になっていくものです。初めは日本人より手が掛るかもしれませんが、海外から来て働く彼らの「必死さ」は、中途半端な日本人よりもはるかにポテンシャルが高いことに早く気が付いて下さい。
5.日本語上手になりたい!

テレビを見ている最中に声を掛けられて、俳優の言葉を聞き逃してしまったことってありませんか?
これって、結構ストレスですよね。
また会議で外国人同士が英語で議論しているのに、何を話しているのか分からず、次第に(集中が途切れて)聞く気にもならず、ぼ~としてしまう...。でも、知ったかぶりをしてうなずく。
これって、本当に「虚しい」ですよね。
そんなストレスや虚しさを感じながら働くのが外国人従業員の皆さんです。
彼らが「大切な一言」を聞き逃したり、理解できなかったために、ミスを犯してしまう可能性があることを、外国人従業員を採用する側は常に意識しておく必要があります。
それでは、「日本語教育を外部にお願いして....」と考えるのが一般的ですが、問題を解決できるようになるには、かなりの努力と時間が必要です。つまり、即解決とはなりません。
その聞き逃した「大切な一言」が何か分かれば、補完もできるのですが、それを把握することは通常とても難しいものです。ですから、伝わらないことを前提にコミュニケーションをする訓練が重要になります。
ポイントは、指示内容を分解し、重要度の高い順に伝えることです。
そして、行間には穴が潜んでいることを覚悟することです。
とあるレストランで、お客様のテーブルに4つのワイングラスを運ぶように指示を受けた外国人ウェートレスがいました。マネージャーは、当然お盆を使って持っていくものだと思っていたら、な、なんと彼女はグラスの上から指を突っ込んでお客様の前に置いたそうです。
それが汚い、失礼な行為だとは知らなかったのでしょう。それが行間の穴です。的確に指示をしたつもりでも、文化や経験、知識の違いによって想像も付かないトラブルが発生します。
もちろん外国人に対して、継続的な日本語教育は重要ですが、仕事で直ぐに役立てるようにするためには、本人たちよりも、指示をする日本人側がコツをつかむことがより効果的です。
6.日本の文化を知りたい!

空港の本屋さんに行ってみると、美しい写真の入った「日本の文化」に関する本がたくさん売っています。(英語で書かれたものですが...)。私たちにとっては「当たり前」のことですが、外国の人たちにとっては、日本の文化はとても感動的です。
海外の空港で、同じような本(その国の文化について写真入りで解説している本)を売っている本屋さんを見たことがありません。あったにしても風景や、遺跡に関するものばかりで、生活に溶け込んだ「文化」を感じられる本を私は見た記憶がありません。
日本は、北から南まで美しい自然に囲まれ、それぞれの地域で独特の文化が育まれ、それを代々引き継いでいます。また長い歴史の中から生まれた習慣、思考、信仰が我々の生活を彩っています。日本食が文化遺産として認識されたことは誇るべきことです。
ちょっと重いですが、空港の本屋さんで日本の文化について書かれている本を買って、是非読んでみて下さい。外国の人が、何に興味を持っているのか知ることができます。そしてそれを知ったら、その文化を説明できるように、理解してもらえるように、準備をしてください。文化を通じて人は仲良くなれます。
ただ外国の人たちの中には、映画や歴史本でデフォルメされた「文化」を見せられていることがあり、政治的な意図により洗脳されていることもあります。通常はそれは表に出てきませんが、何かのきっかけで「だから日本人は信用ならない」というモードに入り込んだりすることもあるので、気を付けなくてはなりません。
そんなときの対処方法は「そうなんだ、そうなんだ」と話を聞くこと、そして絶対に「相手の考えを否定しないこと」、重要なことは本人が気が付くように導くことです。
7.団体交渉の準備?!

経営者と労働者の関係は微妙です。
春闘のような団体交渉の際には、経営者は「搾取する人」という位置づけで、労働者から突き上げられますが、一方で従業員を守るのも経営者なのですから、そんなに単純に物事を考えてはいけません。
同じ≪たたかう≫でも、春闘では「闘う」という字を使います。勝ち負けや優劣を競う「戦う」と違い、「闘う」は困難や障害などに打ち勝つという意味になることを忘れてはいけません。
外国人労働者も、これからさまざまな権利を主張し、日本人には思いもつかないような要求をしてくる時代が必ずやってきます。でも、それを怖がってはなりません。外国人にとっての困難や障害を知らずして、多様性の中、経営などできないからです。
対立の関係は、双方に相手が悪という位置づけです。大切なことは、そうならないよう、「相手の善」を認め合う関係を築き上げる努力を怠らないことです。
必ずぶつかります。
それは当然のことです。ただ会社は、経営者だけでも、従業員だけでも成り立たないのですから、共に手を取り合って繁栄する構図を作り上げる準備を、外国人従業員が少ないうちにしておくことが肝要です。
初めから、外国人従業員の人たちのための組合の準備をしてあげるくらいの度量が欲しいものです。
8.ひな祭り

日本的な行事でどんなものがあるだろう?と考えてみました。
初詣、おせち料理、お雑煮、鏡餅、門松、書初め、初夢、七草がゆ、鏡開き、節分、豆まき、恵方巻、ひな祭り、ひな人形、年度末、お花見、父の日、母の日、子供の日、千歳飴、七夕、月見団子、暑中見舞い、残暑見舞い、お中元、お歳暮、お盆、新盆、旧盆、新米、菊人形、端午の節句、十五夜、紅葉狩り、大晦日、除夜の鐘、年越しそば、年賀状、酉の市、ゆず湯、菖蒲湯、餅つき...
きっと、もっとたくさんあるのでしょうね。
私たちにとっては日常の生活の一部なのでしょうが、外国の人からすると、全く蚊帳の外だったりします。以前日本に高校から留学して日本の大学院を卒業したインドネシア人の女の子と会話したことがあったのですが、おせち料理を食べたことがないと聞いて驚いたことがありました。確かに、ホストファミリーでもいない限り、自分でおせち料理を買って食べるなんてことはしないでしょう。
そうです、おもてなしの心を大切にするのであれば、会社の従業員として外国人を雇用する際に、日本の行事と接する機会を積極的に作って行きましょう。
そんなコミュニケーションを積み重ねることで、見えないギャップは段々狭まっていきます。
9.ロシア侵攻

弊社では、何人もロシアからの留学生を企業に紹介してきました。北方領土のことで私たちはどうしても反ロシア的な傾向がありますが、不思議なことにロシアは逆で親日家が多いのです。そして、弊社ではウクライナの大学で日本語を教えている先生とやり取りをしたこともあります。ウクライナは歴史的に科学の面で優秀な人が多く、また彼(女)らも、日本に対して良い印象を持ってくれているようです。
その両国が今争っています。というよりも、ロシアが理不尽にウクライナの主権を侵しています。あってはいけないことです。
日本企業の中には、ロシア人やウクライナ人が働いている会社もあります。また取引先がロシアやウクライナにあるという会社もあるでしょう。出身国で差別や区別をする愚かな企業はないと思いますが、このまま戦争が長引いていくと、私たちは判断を誤るかもしれません。くれぐれも、そのようなことがないように気を付けなくてはなりません。
ロシアへの経済制裁は、諸刃の剣でもあります。私たちの生活に影響するでしょうが、ウクライナに平和を取り戻すために、耐えていく必要があるのでしょう。遠い国の戦争ではありません、日本が絶対に安全であるとは言えないのですから。
真剣に考えましょう。
私たちは何ができるか?私たちは何をすべきか?
そして、できることして行きましょう。寄付でも、声を上げるでも、祈りでも...。
10.なぜビール?

令和3年の日本における自殺者数は21,007人、毎日約58人の方が自ら命を落としていることになります。また10~39歳の死因1位が自殺で、国際的にも、15~34歳の死因1位が自殺となっているのはG7の中で日本だけだそうです。
この自殺の話をある外国人としたら「日本人にはなりたくない」と言っていました。日本人は、さまざまな「関係性」を意識し、その中で自分の存在意義を見いだす癖がついていて、とても生きずらそうだというのです。
「人の目」を極端に気にして、自分の意見が他と違うことを忌み嫌う。そんな生活をしていると、自分の意思を持たないことが日常になってしまう。誰かの価値観を鵜呑みにして、それが自分にとっても合うと思っている。
でも、実際にはそうじゃないんですよね。だから苦しい。
でも自分の声を出せない。自分の生き方が分からない。そうやって悩んでしまうのだと思います。
個を大切にして生きている外国人の価値観を学ぶことは意味があると思います。
仲間だと言って、同じ価値観を押し付け合ったりしてはいけません。そうしているうちに、WEでない「I」が見えてくるものです。
11.初めの一歩の仕方

ご相談で一番多いのが、「何から準備したら良いのでしょう?」というものです。
これが、結婚情報誌ゼクシーを片手に、新婚生活を始める、ワクワク、ウキウキした気持ちならよいのですが、乗り気のしないお見合いで、親が勧めるから仕方なく...といった顔をしている。
私は、子供の頃親戚に預けられた時期がありました。仕方なく小学二年生の子供を預かることになった叔父、叔母、祖父、祖母、そしてほぼ同年代のいとこたちの微妙な空気感は、私に鎧を纏わせました。祖母からは「お前は口が達者なんだから、弁士にでもなれ!」と怒鳴られたことを今でも忘れません。
子供でも「空気」は感じるのです。ましてや頭脳明晰な留学生が何を感じ取るか...。
日本人の新卒は、大切に孵卵器で育てるような気持ちで迎えるのに、日本語でのコミュニケーションのハンディがあるというだけで、初めから嫌がっているように感じます。
初めの一歩は、そのことを反省することから始めなくてはなりません。
まともな道具もなく、極寒の北海道を苦労して開拓した人たちを支えたのは、希望だったと思います。あなたの会社は、どんな希望を持っていますか?そこにはどんな人財が必要になるのかイメージして下さい。もしそこに人種や言葉に関係なく一緒に働く仲間がイメージ出来たら、いずれ苦労は報われるのだと思います。
12.お花見の文化

日本の文化は、四季と関係しているものが多くあります。それほど、日本は豊かな自然に恵まれた国です。
灼熱の国ドバイ。まるで国中が「ドライサウナ」のような世界ですが、そこに『パーム・ジュメイラ』という超高級リゾート地があります。なんでこんなくそ暑いところに、ヨーロッパのセレブは別荘を持つのか?それは日照時間の短い国に住んでみると分かります。
イギリスに駐在をした際、現地の人事部の人が「秋には家族を呼び寄せない」と話していました。その理由は、冬になるにつれて段々日が短くなって、精神的に病んでしまう奥様たちがあまりにも多かったからだそうです。太陽って、人間の健康にとって大切なのですよね。
出身の地域によって、季節感は全く異なります。
桜を愛でる「花見」を外国人に言葉で説明しても、背景にある文化が異なっていると、言葉では分かっても本当に理解は出来なかったりします。ですから、私たちが桜、花見から何を感じ、それをどう喜び、皆で分かち合うのかを、体験させることが何よりも効果的です。
桜は、世界中で大人気です。
一緒に楽しむことで、更に人と、人との間はどんどん近づいてきます。
13.私たちにできること

ウクライナにロシアが侵攻して一カ月以上が過ぎました。あまりにも悲惨な現状に、嗚咽を抑えきれません。たぶん世界中のほとんどの人たち(情報統制をされていない人たち)は、一日も早く、ウクライナに平和が戻ることを祈っているに違いありません。
でも、きっと神様は私たちに語っているのでしょう。
人類よ、私に頼るな、自らの手で平和を獲得せよ!...と
どうしたらロシアの暴挙を止めることができるか?一人、一人が一生懸命考え、できることをしましょう!テレビを見て、家族で「困ったね」と話すだけでは問題は解決しません。何ができるか話し合ってください。
そのためには、Youtubeで海外のメディアの映像を見てください。
「ukraine live stream」と検索すると、生々しい映像が多数出てきます。現実を直視することが大切です。
ウクライナに寄付をする
ウクライナへの募金活動をする
ロシア大使館の前で抗議運動をする
日本の政治家に電話や手紙を書いて、国としてできることをさせる
私にはこんなことしか思いつきませんでしたが、きっと皆で話し合えば、より良い知恵が生まれてくることと思います。
私がしたことは、ロシア在日大使館の大使宛に手紙を2通書きました。二通目は平和を祈った写経を同封しました。ウクライナ大使館へ寄付をしました。でも、こんなことしかできていないことが歯がゆい。
日本は日本だけでは成り立たず、世界はお互いに協力をしながら生きることしかできません。皆様の会社でも、何ができるか考え、できることを行動して、ウクライナに平和が戻るための努力をしましょう!
14.外国人を採用すること

コロナ禍、そしてロシアのウクライナ侵攻と続いているからでしょうか、オフィスで働く人財として、外国人を採用することへの企業の「熱量」が下がっているような気がします。
コロナ禍前は、少子高齢化や人財不足、グローバル化といったキーワードで、実際に採用するかどうかは別として、経営者も人事採用部門の方も「外国人採用」に関する情報収集に励んでいました。
ところが、コロナ禍でさまざまな部品が海外から調達できなくなり、さらに中国でのコロナ蔓延に伴う都市のロックダウン、その上、ロシアへの経済制裁による「諸刃の剣」状態での燃料費の高騰もあり、「これから大変な時代が来るかもしれない」という空気が漂ってしまい、外国人の採用のことなど忘れているようです。
太平洋戦争の後、諸先輩方の必死に頑張ってきたおかげで日本は豊かになりましたが、この豊かさが未来も続くとは限りません。
≪ OECDのデータ ≫
■日本の平均年収
2015年 3万7,265ドル(約428万円) 韓国より878ドル(約10万円)低い
2020年 3万8,515ドル(約442万円) 韓国より3,445ドル(約40万円)低い
■平均年収増加率の比較(過去30年間)
日本 : 1,636ドル (約19万円)増
韓国 :2万 130ドル(約230万円)増
既に、購買力平価ベースのGDPでは日本はすでに韓国に追い越されている
外国と比較する必要はないのかもしれませんが、もっと生産性の高い仕事をしていく必要があることは、概ね想像ができます。
そのためには、どんなことをしたらよいか?是非、社内で話し合ってください。
良い知恵が出てきたらよいですが、もしも良いアイディアが出てこなければ、異なった視点を持つ人財が必要に違いありません。
15.英語の勉強方法

英語は必要です。平和を築き上げるためにも、戦争を回避するためにも。
音楽は、音「学」とは書きません。音を「楽しむ」です。それと同様に、英語も学問として学ばせず、「言葉を楽しむ」ようにすれば良いのです。学問させるから、人には拒否反応が起こります。
一般の人が音楽を聴くときに、#だ♭だ、和音だ、拍数だなんて、考える人はいないでしょう。好きな曲を楽しむ、それだけです。そして、覚える努力をしなくても、一度聞けば記憶することができ、鼻歌くらいは誰でもできます。
好きな曲なら、歌いたい、理解したいと思うのが当然です。その自然な気持ちを大切にして、英語を習得すれば良いのです。
そのために、一番重要なことは「聴こうとすること」です。日本人の多くは、英語の歌を聴くときに、言葉として認識しようとはしていません。そこから変えていく必要があります。
当社では、従業員教育として英語の習得を実践していますが、その際に一番初めにすることは、好きな曲を聴きながら、カタカナで表記することです。どう聞こえるのか、必死になって「聞き耳を立てて」書くことが大切です。結果、全く違っていても問題はありません。
その後、実際のスペリングを見て、「あ~、こう聞こえていたけど、実際には〇〇という単語だったんだ!」と感じれば、しめたものです。次回からは、その言葉に聞こえてきます。
当社での英語の習得の実践はさらに続きますが、この初めの一歩は何よりも大切です。あなたの英語力が、世界を平和に導くかもしれません。
言葉ができることは、楽しいものです!
16.信用は放任ではない

日本人の傾向として、コミュニケーションがうまく取れない外国人に対して、「安心できる人」「あいいれない人」のどちらかに分類する癖があるようです。
「安心できる人」に対しては、言葉が通じようが通じまいが、信頼できる仲間として行動します。それは悪いことではありません。ただ、コミュニケーションが十分に取れないため、日本人の部下なら当然するようなプロセスのチェックを怠る傾向があります。外国人は、日本人と違い、プロセスの途中でチェックを受けることを嫌がることもあり、遠慮するという面もあるようです。
これは、後々大きな問題へと繋がります。
日本が世界で高い評価を受けている最大の理由は、品質の高さにあります。同じ人間でも国や文化によって品質が異なる理由は、品質へのこだわりの有無が、個人と組織にどの程度あるかです。これは、優秀であるかどうかとは関係ありません。
私がアメリカに留学をしていた約40年前のBICのボールペンは、スーパーマーケットで10本いくらでとても安く売られていました。安さの理由は、その内数本しか使えなかったからです。安いので文句は言いません。皆、そんなものとして買っていました。日本では考えられないことです。
良し悪しではありません。価値観の相違です。
信頼しても放任してはいけません。日本企業としての品質へのこだわりを維持しようと思うのなら、外国人従業員にその文化を継承し、組織として品質を追求する必要性を根付かせていく必要があります。
日本企業の誇りを失わないことは大切です。
17.いつの間にか離れた心

優秀で能力のある外国人従業員にイキイキと仕事をさせるには、メリハリが重要です。
そこで重要になるのが、ご褒美です。
日本人の場合にはご褒美というと、嬉しいけど恥ずかしいといった感情が先に出たり将来への不安感が出るため、取り扱いは微妙ですが、外国人の場合には全く異なります。
ご褒美として、お金を渡したとしましょう。
アジア系の人たちの傾向は、周りを気にします。そのため、大ぴらに嬉しさを表に出しません。周りから端を引っ張られるといった負の事態が発生することが多いからです。また残念ですが一定の割合で、ご褒美を獲得するために、小癪な手段を講じる人も出たりします。
欧米系の人たちの傾向は、自分への正しい評価に対して誇りを持ち、当然の如く、ご褒美を喜んで受け取ります。周りの人たちも、意外に喜んでくれたりします。その理由は組織に帰属している感があまりなく、個が確立しているからだと思います。そして、次のご褒美を期待します。
しかし当研究所では、お金のご褒美は推奨しません。
一番良いのは、「ご褒美休暇」です。お金は気を付けてください。ある人にとっては「こんな少額?ケチな会社」という気持ちにさえしてしまうからです。
なぜ居場所を感じない外国人の相談に対してこのようなご褒美の話を書いたかと言うと、優秀な外国人の場合には、常に明確な課題を提示し、それを定期的に評価し、成果が出たものについてはご褒美をあげるという循環が必要だからです。
日本の企業は、会社と従業員が一体化しているため、仮に仕事がない時期があっても、自分の存在意義を考える必要はありません。ところが、外国人の場合には、自分の存在意義を見失うと、不安になるのです。
とは言っても、メリハリを持って仕事をさせないと、これはこれでやる気を失わせることになることを忘れないようにしてください。半年に一度のボーナスで評価している...と思っていたとしても、それが外国人に満足できるレベルかどうか分かりません。
そのため、他の人から見ても羨ましく感じ、評価を受けることへの自尊心も満たされ、次の課題に臨むモチベーションをアップさせるご褒美休暇はとても良いメリハリとなります。
外国人従業員にイキイキと仕事をしてもらうには、課題と課題の間のご褒美は大切なのです。
18.誰を選べばいいのか...

コミュニケーションにとって、必要不可欠だと思いがちなのが言語です。もちろん、言葉が通じることはとても重要な要素ですが、日本人同士でさえ、うまくいかないことがあるのですから、言葉が通じたからといってコミュニケーションがスムーズに行えるとも限りません。
ところが、外国人を採用する際に、一番のネックだと思うのが「日本語」です。そこを日本の企業は勘違いしがちです。そのため、日本語ができるという、ただそれだけですんなりと採用を決めてしまうという、やってはいけない採用をする企業が多いのです。だって、日本人を採用するときに、「日本語が話せるから」という理由で絶対に採用はしないのですから、まずはそこから意識を変える必要が日本企業にはあります。
明晰な頭脳と、やる気、そして一定の期間があれば、充分にコミュニケーションを取るレベルの日本語は出来るようになります。当社の経験ですが、ほとんどまともにコミュニケーションが取れなかった外国人スタッフが、半年後にはとてもチャーミングな日本語を話せるようになり、いつも間にかお客様の中にファンまでできたということさえあります。
社内のコミュニケーションも注意が必要です。会話ができるからといって安心しすぎないことが重要です。私たちが外国人の中で、ニコニコ笑ってうなずいているのと同じです。その場を取り繕っているだけという可能性があるからです。ですから、理解度を上げるための「補完する仕組み」を準備しておく必要があります。そう考えると、日本語を学ぶ気持ちがなければ別ですが、そうでなければ入社時の日本語レベルはそんなに重要な要素ではないことに気が付きます。結局、外国人を活用するためには、一定のレベルで英語化が求められるからです。
あとは、何をしてもらいたいのかが、何よりも重要です。総合職という、入社してから何をさせるかを決めます。という漠然としたものではなく、「〇〇をしてもらうために君を採用する。」という明確なミッションに基づいて採用することです。もちろん、入社した後、数年たって次のミッションを与えるというので良いので、まずは当面の目的と目標を会社は準備する必要があります。
他にもいろいろとありますが、何が大切なのか、段々お分かりになって来たのではないでしょうか?是非良い人財を採用してください。
19.想像できますか?その不安

日本以外の国で就職活動をした経験のある日本人は、極わずかだと思います。
大半の人は、日本国内でしか働いた経験がありません。
イメージして下さい。アナタが他の国の企業で採用面接を受けるということを。
どんな質問が来るか分かりません。大体、質問の意味が理解できるか、質問が分かっても、きちんと返事ができるか、...。
不安になりませんか?そうです、外国人が日本で働くときも全く同じです。
人は緊張すると、普段の力が出せなくなります。場合によっては、自分の名前さえきちんと言えない程です。でも、それは「採用面接」という特殊な環境だからです。
日本企業は、履歴書の内容よりも、面接での印象を優先する傾向があります。それでは、本質が見れません。是非、履歴書をしっかり確認下さい。そして、履歴書に書かれている内容について質問をしてください。自分がしてきたこと、自分がアピールしたいことが履歴書には書かれているので、緊張の呪縛から解き放たれることでしょう。
一番いけないのは、中途半端に日本語が話せる外国人です。注意してください。話せるからといって、仕事に通用するレベルの日本語が使えるかどうかは分かりません。その上、日本語ができるからといって、能力が高いということとは繋がりません。
でも、多いんですよね。それを誤解して採用した結果、後ろ足で砂を掛けられる日本企業さんが...。
緊張する外国人が面接に来たら、是非このことを思い出してください。
20.部下に外国人は困る...

ある会社さんで、部下に外国人を入れるということで大混乱をしたことがありました。
きっかけは、従業員の高年齢化でした。若い人が採用できず、このままでは数年後に会社が回らなくなるという危機感から、社長が英断をしたものです。
しかし危険を伴う職場で、コミュニケーションがきちんと取れないと、それこそ命に係わると、その上司は大反対でした。掴みかかるような勢いで、言い争ったそうです。
最終的には、その上司は「外国人を入れるくらいなら私は辞める!」と言い放ち、結論んは社長に委ねられました。
社長は「外国人の採用」を選択し、上司は退職してしまいました。
そしたら、何が変わったか?
残った従業員たちが、変わったそうです。今までは、辞めた上司と同じ意見だったのが、気が付けば、マニュアルを分かりやすい絵と、簡単な英語で作るようになったそうです。
数年過ぎて、先に入った外国人がリーダーとなって、後から入社した外国人を指導するようになりました。
皆様の会社では、外国人を採用していくことで、どんな問題が噴出するのか、私は分かりません。でも、必ず道はあるのだと思います。
21.給与が高くない...

お金の魅力は強烈です。誰だってお給料を多く貰いたい。それは自然な欲求です。
しかし、人はそれだけでは動かないことも事実です。
企業がもしも「集金マシン」だとしたら、どうでしょう?
そんな会社のどこに「生きがい」や「やりがい」を見いだすことができるのか?もちろん、投資家で推理を働かせ、他の人を出し抜くというゲーム感覚でお金を増やすことに「楽しみ」を求める人もいるかもしれませんが、そんな人の方が少ないのではないでしょうか?
あなたの会社のミッション
それが何よりも重要です。それはトーナメントのトロフィのように、輝かしく、獲得することが難しいもののはずです。会社はその目的を達成するためにできている。会社はその従業員を大切にし、共に力を合わせて努力する組織であるはずです。
惚れさせる
それができれば、給与などさして大きな問題ではありません。大体、給与は頂くものではなく、共に成果を上げて獲得するものです。成果に応じて、分け前も大きくなるのは当然のことです。つまり、将来の給与は、「己の成果」次第だということです。そのルールを会社が示すことで、ビジネスの戦場で一生懸命働くようになります。(ただ、これは単純な「成果主義」ということではありません。)
時間軸・評価
高度外国人にとって、あなたの会社が最後の会社であるとは限りません。自分の目指す目標が他にあればそちらに進むからです。そんな彼らに重要なことは、日本的な昇進のスピードでは遅すぎるということです。3年で主任、5年で係長、7年で課長等の昇進や、毎年の定時昇給一万円に、ちょっと色が付いているような評価では、彼らは自分を正当に評価してくれたとは思いません。
惚れさせるだけの器量
日本企業に求められるのは、単に給与だけではないことを忘れずに、良い人財を採用してください。
22.外国人を雇うべきか?

外国人従業員をまるで「猫の手」のように考えている人がいます。人手が足りないので、誰でも良いから手伝って欲しいというものです。これは大変失礼な話です。外国人は日本語ができず、能力が低く、仕事もできないけど、仕方ないから使う的な発想だからです。
そんな会社の傾向は、実は日本人従業員も「猫の手」扱いしていて、使い捨て的な扱いだったり、定着率が低かったり、俗にいうブラックです。つまり人に対しての愛情がない。そんな会社なら、私は長く勤めたいとは思いません。
この文章を読まれている会社さんは、上記のようなカテゴリーではないと思いますが、人に対して愛情がある会社であれば、従業員が日本人であっても外国人であっても、何も問題はありません。
「うちの会社は準備ができていません」と仰る方が多いのですが、何を準備するのでしょう?意外に何を準備したら良いのかさえ分かっていないものです。大体、どんなに準備しても「十分」になど絶対なるはずがありません。それならば、一日も早く採用して一緒に問題を解決していった方が、より効率的です。
この文章の冒頭、外国人を「猫の手」扱いするなと申し上げていましたが、ものは考えようということもあります。もしも私たちが本当の「猫の手」を手に入れたら...と想像してください。壁をよじ登ったり、猫パンチで相手を撃退したりと、普通の人間の手ではできないことが出来るようになることに気が付くはずです。
そうです。日本人の私たちにできないこと、彼ら外国人はいとも簡単に片づけてしまうことができることがあると思いませんか?
「雇うべきか?」という質問ではなく、「雇ったら面白そうですよね?」と仰ってくれれば、ハイ、その通りです。と私はお答えします。(注:この面白そうとは、何か楽しそうな、ワクワクする出来事が展開する期待感を表しています。)
23.会話しようとしない

私が留学をしていたとき、英語を上達したいと思い勇気を出してアメリカ人の中に入ってお昼を食べようとしたことがありました。するとアメリカ人の同級生から「なんで日本人たちと一緒に食べないの?」と質問を受けました。
つまり、人種のるつぼと言われるアメリカでさえ、悪気はなくても「溝」が存在しているということです。彼らにしても、何を話しているのか分からない日本人との会話は面倒でしょうし、何を話して良いか戸惑うからです。
学生の場合にはそれでもかまわないのかもしれませんが、会社のように協力をしあって成果を求める組織では、改善をした方が良いものです。
ダイバーシティによる成果は、化学変化のようなもので、触媒があることでそのレベルは高まります。コミュニケーションを促すためのちょっとした仕組みです。
これは強制的に何かをさせるというより、共に協力しあって解決する的なものであることが大切です。不思議なもので、一度でも成功体験があると、それ以降はスムーズに進むものです。
そこでよくやるのが、日本人の担当者を決めて、外国人に一方的に手取り足取りアドバイスや、指導を行うというものですが、これは「お勧めしません」。その理由は、一方的だからです。これはコミュニケーションではありません。
コミュニケーションをしなくてはならない環境を作って、日本人も外国人も、苦労をしながら共にベクトルを合わせて行くプロセスが重要なのです。
お互いを認め合い、お互いの力を信じることが出来るようになれば、言葉の障壁はあまり気にならなくなり、どちらからともなく、話しかけ、相談をする関係が生まれてきます。
さあ、脳みそから汗をかいて下さい。
うちの会社では、どんなことをしたらよいか?日本人だけでなく、外国人を含めて一緒に考えてみましょう。
それが一番シンプルなスタートです。
24.LGBTと告げられて

「LGBTについて考えよう - 法務省」を読むと、正直、そうなんだ~そこまで気を付けなくてはならないんだ...と感じます。
【法務省の例題】
《ユリコさん、マミさん、サヤカさんの会話》
マミ :ユリコ、恋人できたって聞いたよ!
ユリコ:そうなの!
サヤカ:彼氏ってどんな人?
この会話に違和感を覚える人はあまりいないのではないでしょうか?
ところが、
法務省の解説では
恋愛対象は異性だけとは限りません。あなたは男性が好きですか?
女性が好きですか?それとも好きになる人の性別にはこだわりませんか?
女性の恋人は「彼氏」、男性の恋人は「彼女」と
想定されがちですが、異性を好きになる人だけではなく、
同性や両性を好きになる人もいます。
あるいは、男性にも女性にも恋愛感情を抱かない人もいます。
性とはとても多様なものです。
LGBTとは知らず、「男だろ!大丈夫、頑張れ!」と励ましたつもりが、相手を酷く
傷つけてしまった...。そんな経験を私もしたことがあります。まったく悪気はないのに、相手のことを思いやっていたつもりなのに、相手を追い込んでしまうなんて、
とても悲しいことです。
今は難しいことのように感じますが、一人一人が「思いやり」の心を持って
接していけば、初めはギクシャクしたとしても、いずれ調和していくことでしょう。
人の不幸など誰も望んでいないのですから...。
25.また、伝わっていない

道を歩いているとき壁にぶつかったら、その壁に文句を言うでしょうか?そんなことはしませんよね?よそ見していた自分のことを反省します。
「言葉のギャップ」という壁にだって同じであるべきです。
どんな道も、平坦であり続けるなってことがないのと同じで、必ず何らかの壁があるものです。そんなものでしょう。
さて、その「言葉のギャップ」という壁とはどういうものでしょう?もちろん、コミュニケーションがうまくいかないということですが、アナタの心の中にあるシコリは、期待通りにいかない、どうして良いか分からない...といったもののはずです。
以前、何かの本で読んだことがありますが、神様は超えられない試練は与えないそうです。また、試練を与えられた人は、選ばれた人であるとも言われています。
初めてのこと、困難なこと、前例もない...。
絶望を感じますか?それとも、選ばれた栄光に感動しますか?
こと外国人とのコミュニケーションについては、日本人は「英語ができないトラウマ」のためか、すぐ諦めてしまう傾向があります。それではダメです。その気になって、智慧を絞れば、必ず道はあります。魔法はありません。努力も必要です。
高度外国人財の人たちも、真剣に、日本企業で頑張りたいと思っているのです。
力を合わせ、問題を解決するにはどうしたら良いか、様々なチャレンジをしてください。
それでも、どうしても思いつかないようであれば、当社、異文化コミュニケーション研究所にご連絡下さい。一緒に解決への道を探っていきます。
26.笑わない男

私たちは、職場を「仲間の集まる場所」という意識を持っています。初めは知らない人であっても、一緒の場所で仕事をしていれば仲良くなるのは当然ですし、家族的に仕事をするのが日本企業の良さでもあります。
しかし、そうでない国もたくさんあります。特に個室やパーテーションで仕切られた職場の場合、一人一人のミッションをこなすのが仕事で、他の人がどうであろうが、仕事中は知ったことではない。そうなってくると、仲間なのか、競争相手なのかわからなくなります。ある意味、顔で笑っていても腹の中が読めない「仲間?」だったりしています。
また、与えられた仕事を黙々とこなすことが、何よりも重要で、愛想を振りまく、冗談を言う、といった社会性を全く感じられない人たちも文化的な背景であったりします。気を付けなくてはいけないのは、結婚をしている女性に対して、口説くつもりがなくても、談笑しているだけで、大きな誤解を招くところもあるくらいです。
とはいっても、ここは日本ですから、極端に気にすることはないのですが、そういう世界もあるということは知っておくことは役に立ちます。
相手に悪気がないのであれば、不愛想であっても、仁王像が目の前に立っているというくらいの気持ちでいれば平然といられるものです。それよりも、どんな成果を求めるのか、誰かと協力をして達成させるのか、一人でやる仕事なのかを明確に伝えて、それに向けて最善の努力をするように指示をすることが大切です。
結果に対して、正当に評価をする。改善すべきところをアドバイスを含めて伝えて、新たなチャンスを与える。その繰り返しをしていくだけで、気が付いてみると、その人のご家庭に招かれていたりするものです。
知っていましたか?仁王像は、私たちを悪霊や邪気から守っているのですよ。(笑)
27.日本人が不甲斐ない

今でも、私は日本人は勤勉な民族だと思っています。しかし、働くことに対する日本人の意識は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と呼ばれた頃とかなり異なってきている気がします。
今の若い人たちの多くが、自分たちの未来は、親の時代よりも良くないと考えていると言われています。
未来 と 将来
未来は、単なる現在・過去と対立する概念です。一方、将来は、主観的な使われ方がされることが多く、未来に対するプラスのイメージが含まれます。
確かに、将来の「将」という字は、『将軍』という言葉に使われるように、軍隊をひきい指揮する人を意味しています。
「将に将たる器(うつわ)」(大将を部下としてその大将となるほどの、すぐれた人物)
未来は築かれるものかもしれませんが、将来は自分の力で獲得するもの
ついこの間まで、一ドルが110円程度だったものが、現在は140円に迫っています。私は、160円にはなるだろうと読んでいますが、ある方に言わせると200円にはなるだろうと言っていました。私が留学をしていた1980年代前半は、一ドルが260円だったことを思い出すと、そんな時代がやってくる可能性も本当にあります。
そうなったら、エネルギーも資材も海外から調達するしかないこの国がどのような状態になるのか、簡単に想像がつきます。
日本人が外国人と比べて「不甲斐ない」のは、努力をしなくても、なんとか生活ができる、そこそこ豊かな生活ができている。という安堵感がどこかにあるからなのかもしれません。そして外国人が一生懸命頑張るというのは、そんな安堵感が祖国にはないからでしょう。
どんどん時代は変わっていきます。
現実に気が付き、目が覚めれば、私たちの中に眠っているDNAのスイッチが入るのだと、期待します。
27.夢追い人と現実

本人と話をしました。
会社の将来に不安を感じたそうです。信頼していた先輩たちが、立て続けに辞めてしまい、会社の売り上げも芳しくないと聞いたからです。お給料はきちんともらっているのか?と尋ねると、「きちんともらっている」と言います。
彼は大学ではとても優秀で、学校から奨学金まで貰っていました。ところが就職活動がうまくいかず、困っていたところを、知り合いの方から紹介をされてその会社に勤めたそうです。就職先が決まったときには、とても嬉しそうにしていました。
あの京セラを創業した稲盛和夫さんも、就職をした会社が赤字続きで、給与も遅延するような有様に、将来を悲観して、自衛官になろうとしたことがあったそうです。ところが、実家のお兄さんが申請書に必要な戸籍謄本を送ってくれず、やむなく会社に残りました。
それからがすごい、ファインセラミックの研究に没頭したことで成果を出し、それが元で上司のご厚意もあって会社を作り、今に至る京セラをに成長させてきました。
会社が赤字であろうが、先輩が辞めて行こうが、本人の人生を決定づけるものではありません。要は、本人が本腰を入れて一所懸命頑張って、頑張って、頑張ることです。きっと神様はその様子を見て、チャンスをくれるのでしょう。
その元留学生には、本当の世の中がまだ理解できていないのでしょう。
会社は給与をくれるところではなく、稼ぐことで給与という「分け前」を貰うところだということを理解しなくてはなりません。環境がどんなに悪くても、それを理由にして自分の不遇を呪ってはならない。一生懸命生きた人は、必ずあの時の自分があったから、今があると誇ることができるものです。
短い時間ですが、彼にこの話をしました。あとは彼次第です。
29.本当に準備ができていますか?

人材も企業にとっては事業を行うための「リソース」です。
しかし、製品を作る際の部品とは異なります。
発展途上国からすれば、日本での収入は驚くほど高い。それを夢見て、日本語を勉強し、一生懸命日本の文化に馴染もうと努力してきた人たちはとても純粋です。かつての日本も同様でした。1960年代の日本の総理大臣の給与は当時の国連職員の給与よりも低かったくらいですから、国力の差は、国民の生活にダイレクトに影響するのでしょう。
どんなに過酷な状況で働かされても、母国に帰るよりはマシだと彼らは考えています。ですから、必死に働くことでしょう。しかし、雇用する側が彼らを使い捨てできる人材であると認識していたとするのなら、事業環境が変化した際に大変な悲劇を生みます。
安い使い捨てできる労働力
日本人にとっても再就職は楽なものではありません。ましてや外国人にとってはとても高いハードルになります。ですから、仮に雇用調整をせざる得ない状況が訪れることがあったにしても、今までの仲間が、その家族が路頭に迷わないように、彼らのスキルアップや心のケアーに力を注いであげてください。
遠方から来てくれた家族
そんな気持ちで一緒に仕事をしていれば、言葉や文化の壁を越えてより良い関係が築かれていくことでしょう。日本は外国人と呼ばれた人たちと共存共栄の時代に入りつつあります。安易に海外から連れて来たことで在来種を脅かす「外来種」の扱いのようにならないようにしなくてはなりません。
