
Short Message
《2020年》
globalforce.link通信
1.配属先とうまくいかない

将棋の駒に例えてしまうと失礼かもしれませんが、高度外国人財は入社して早々は「桂馬」のような動きをします。新人教育の担当者としては従順な「歩兵」を望むのでしょうが、予想外の動きをします。でも、そこで「君も歩兵のようにしなさい」と指示をしないことです。彼らはとても頭が良いので、直ぐに従順な「歩兵」になってしまうからです。教えた通りの仕事をこなす程度の人財にしておくのはもったいない!
摩訶珍(まかちん)の高度外国人財
是非そんな彼らを使いこなせる日本企業になっていきましょう。
それから採用する際に、あまり甘やかさないことも重要です。優秀な彼ら(彼女ら)は、「できないのは周りの環境が悪いからだ」と平気で言ってきます。英語のマニュアルがないとわからない「会社の準備が足りない」と、こちらがイライラするようなことを言ってくるときがあります。
さて、あなたならどうしますか?
当研究所が、ある会社さまにアドバイスをしたのは「マニュアルを作るのも君の仕事だ」というものです。君の後任が来る前に、完璧な状態で迎え入れたいので、何が足りないのか、何が必要なのかを整理して、マニュアルを作るようにするのです。正解が分かっているような簡単な仕事は君にはもったいない。期待しているよ!君のアドバイザーは〇〇さんだ、アドバイスが必要な時には質問をするように。
いかがですか?
2.就労期間が短い

日本の大学は《入るに難し出るに易し》で、海外の大学とは真逆です。アメリカやイギリスの大学の図書館は不夜城のようです、大学生たちが必死に勉強しています。
それと同様に、日本の大学生は『入社』することに最大の力点を置きます。そして入社してしまえば、出世競争に入るまでの暫くの間(数年間)は《のほほん》と過ごす傾向があります。まるで田植えが終わったら収獲の秋までのんびりする農耕民族のようです。
一方で、外国の大学生たちは、狩猟民族的に獲物を得ることができなければ「飢え死に」してしまうという強迫観念を持っていると思ってください。そんな彼らに、入社して数年間を《のほほん》と過ごすなんて意識はありません。
狩猟民族の血が流れている高度外国人たちは、走り続けなければ体力が落ち、獲物を得ることができないことをDNAレベルで知っています。日本企業は、そんな彼らに充分な「安心感」を持たせることができているでしょうか?
またグローバルな世界は、狩猟民族の世界でもあります。神風が吹く日本は、海に守られ平和な国だったのは昔の話です。今は国境を越え武装したグローバル企業がハイエナの如くやってきて、《のほほん》としたマーケットから日本の中小企業を追いやっています。そんな世界を今までのような《のほほん》とした経営戦略と人事管理でやっていけるのか?
考えるのに良い機会です。
3.査定結果に納得がいかない

目が輝いている若く元気のある人たちからは、エネルギーをもらえます。
私たちが想像もつかないような未来を、これから切り開く「若き獅子たち」です。
特に、海を渡り、希望に胸躍らせて日本にやってきた学業優秀な留学生たちは、底知れぬ可能性を秘めています。
彼らは、日本という国に憧れ、従業員を大切にする日本企業を尊敬し、日本で働く「自分」を夢見ています。
ただ文化が違うというのは、受け入れる日本企業にとっては厄介なことで、こちらが頭を下げているのに握手を求めてくるようなもので、違和感を感じるものです。
ダイバーシティとは、多様性です。多様性とは、正直、扱いづらいものです。
ですが、その「小さなハードル」を、微笑ましい驚きとして受け入れることさえできれば、次のステージへのワクワク感を持てるようになります。
子供の質問と同じで、悪気はない質問です。
こちらが心を開けば、子供が学習するのと同じように馴染んでいきます。
4.新人教育の仕方

よく外国人の新人教育に関するアドバイスを求められます。
日本企業の多くは、新卒の一括採用をして、集団教育を施した後、それぞれの配属先に行くという方法を取りますが、そこで私たち日本人は、無意識のうちに『画一化』を望んでいます。
回れ~右!というと全員が息を合わせて動き、一糸乱れぬマスゲームのような動きをさせる。そして配属先には、ネクタイの色の違い以外はほとんど差のない、個性を埋没させた人材を供給することが新人教育の傾向です。
日本での生活が短い外国人にとって、基礎知識、社会人・組織人としてのマナーやルール、会社の経営理念・歴史・文化、等々はとても重要です。しっかりする必要があります。しかし、それを横並びでしないことが重要です。
野菜の「種」を見たことはありますか?
小さな粒々の種は、知識がなければ、それぞれの種からどんな野菜ができるのか、種だけを見ただけでは分かりません。でも、美味しい野菜をたくさん収穫したいのなら、種を植える段階から、個別にいろんなことをしなくてはなりません。たとえば、深く掘らないといけなかったり、水をたくさん上げないといけなかったり、肥料の配分や設置場所に工夫しなくてはいけなかったり、種に合わせていろいろなことをする必要があります。
人も同じで、種の状態から、いろいろとやるべきことが異なります。特に、高度教育を受けてきた外国人の新人の場合、単に横並びで教育しても期待通りには育ってくれません。
幸い、種と違い、人はコミュニケーションが取れます。徹底的にコミュニケーションを取り、その本人の人物像をイメージして必要な施策を講じることが大切です。
5.年休を使い切りたい

昭和の人。そんな呼ばれ方をする時代が来ている気がします。
♬ 24時間働けますか?ビジネスマン、ジャパニーズビジネスマン ♬
学生時代は髪の毛を伸ばして、アルバイトや合コンと楽しい時代を過ごしても、社会人になった途端、会社のために人生を捧げるといった人生観が「昭和の人」にはありました。あれから30年、平成の時代が過ぎ、令和の時代に突入してみると、全く違った人生観があるような気がします。
ボランティア活動のために有給休暇を使う若者たち、ガツガツ働くことよりも、自分の人生にとって意味のある仕事をしたいと考えています。そんな自由な発想を羨ましくもあり、受け入れがたくも感じます。
この日本でも外国人たちが普通に働き始めたことでも、グローバルの一部として私たち日本もあるのだと感じます。昭和の人として彼らとどう接したら良いのか?難しい課題のように感じますが、ある意味とっても簡単だとも思います。それは、彼らを信じること、彼らがこれから築き上げる未来を信じることしかないからです。
ピラミッドの石に書かれた落書きってご存知ですか?紀元前数千年前に書かれたものです。そこには『最近の若い者は...』という愚痴です。
自分の価値観で悩むのは止めましょう。
未来を築き上げる人たちに任せれば良いのです。
6.突然のダイバーシティ指令

コロナウィルスの感染蔓延によって、日本だけではなく世界中が突然新たなフェースに突入した感がありますよね。世の中がグローバル化したと思ったら、今では飛行機さえまともに飛んでいない。仮に相手の国に行っても、2週間は隔離されて、また日本に帰国しても同じように2週間の隔離。こんなんじゃ仕事になりませんよね。
これからどんな社会に変化していくのか、誰にもわかりませんが、でも何か手を打たないと次のフェーズで生き残るのは難しくなるのだろうと思います。
最近「ダイバーシティ」の活用を言い出し、突然プライオリティを上げて実施する企業が出始めています。もちろん、当異文化コミュニケーション研究所としては、Very Welcomeなのですが、なんか「会社の救世主」、「売上改善の特効薬」のような扱いをされている企業に対しては、はっきり申し上げることがあります。
ダイバーシティは万能薬ではありません。
それに、ダイバーシティの導入でその成果を得る前には副作用がある場合が多く、それを乗り越えないと結果的に「やるべきではなかった」となってしまうことが多々あります。
1. なぜ「ダイバーシティ」を導入するのか?
2. どんな成果を期待して「ダイバーシティ」を導入するのか?
3.「ダイバーシティ」を導入するための準備を何かしていますか?
さて、あなたの会社ではその議論を十分にしているでしょうか?
ネガティブな気持ちになる必要はありませんが、何の準備もせずに突然扉を飛び出して旅に出るようなことは辞めましょう。旅のない人生より、旅をした方が絶対に良いですが、より良い旅にするための準備だけはしておきましょう。
7.私には責任がありません

外国人従業員を雇って、日本人上司に一番嫌がられる言葉が
「私には責任はありません」という言葉です。
「担当者は君だろう!なんでそんな言い訳を言うんだ!」と怒りまくる上司をよく見ます。でも高度外国人財は、私たち日本人のいうところの『言い訳』をしてる気持ちは全くありません。自分のコントロール外のことに対して責任があるなんて全く思っていないからです。
しかし、日本人にとってはこの考え方は納得いかないものです。
しかし「叱る」と「怒り」は全く違います。私たちからすれば無責任的な発言に怒りを感じるのはわかりますが、まずは心を静めて下さい。ここで怒れば、「悪いのは自分ではないのになぜそんなに感情的になって怒るのか分からない!」と、彼らの心の中に『わだかまり』を作ってしまいます。それでは、更に別の問題を生むことになってしまうからです。問題が解決してから「叱って」あげることが寛容です。
この問題が生まれる理由は、私たちの仕事観を事前に教えておかないからです。彼らのイメージしている「責任」は、私たちが通常使う「責任」のニュアンスと全く違います。高度外国人的には、責任があるということは問題が起こった際に『君は責任を負って辞めてくれ、これでクビ』と言われるものだと思っています。こちらは、これっぽっちもそんなことを思ってもいないのにです。ですから、その違いをきちんと伝えてあげることが重要です。
日本人は、仕事を受けるとは、その後に起こるすべての事象は自分の責任において対処するという考え方ですが、外国人は違います。ジョブディスクリプションの考え方から来ているものですが、自分のすること以外、他の理由については「責任外」という発想をしているのです。
でも、彼らも日本的な仕事の仕方さえ理解していれば、トラブル対策も含めてきちんと仕事をしてくれます。大丈夫です。

9.許可得たのに、なぜ怒る?

身長が2mを超える外国人の方はたくさんいます。
体重も100kgを超えてお相撲さんのような体形の方もたくさんいます。
体形で人選(採用)する会社はないと思いますが、突然そんな外国人と一緒に仕事をするようになると、初めはみんな「大きいな~」と驚くものです。
さて、とある会社さんでの出来事です。
大きな体の外国人が採用されました。そんな大きな体を持つ彼にとって、日本人仕様の「小さな机」と「小さな椅子」は難儀なものです。特に椅子からは大きなお尻がはみ出てしまいますし、腰にも良くない、椅子も耐え切れずギシギシ音を鳴らします。
そこで庶務課に、大きな椅子を買ってくれとお願いをしましたが、杓子定規な返答で「新入社員は皆さんこの椅子と机を使っています。あなただけ特別扱いするわけにはいきません。」との返事。
それでも仕事に支障をきたすため、その外国人従業員は上司に懇願したそうです。上司も納得し、庶務に掛け合ってくれ「会社では買えないが、ご自身で自分の体に合うサイズの椅子を準備するのであれば許可します」ということで話がまとまりました。
さて、数日後、大きな箱に包まった椅子が会社に到着、それが『アーロンチェア』。
たしかに大きく、彼の体も支えることのできるしっかりした椅子です。しかし、そのフロアーの誰よりも「高価で豪勢な椅子」を最近入社した彼が座ることに、周りからの冷たい視線が注がれてしまい、あちらこちらから陰口が...。
「たしかに許可しました、でも、そのくらいの配慮はあるべきでしょう!!」庶務課は怒り心頭。その外国人従業員は、その大きな体を小さくして叱られながら「でも自分で支払ったし、許可してもらいました...」と涙目です。
さて、そんな事態になったら、あなたの会社はどう対処したらよいでしょう?
どちらも悪い訳はありません。ただ、どちらにも微妙な意思疎通の不備による「非」がある。必要なのは、大岡裁きです。
8.指示が伝わらない

外国人が日本で働く際の最大の課題は、やはり「日本語」です。
彼らの語彙力に合わせて会話をしないと理解させることができないためです。
この問題を解決するためには、私たちが固い決意をする必要があります。
なんとしても、ダイバーシティを活用する!!
これは、簡単に乗り越えられるようなことではありません。
失敗、失敗、失敗、落胆、失敗、失敗、失敗、....
この繰り返しに、どれだけ耐えられるかです。そして、その失敗を会社全体で
シェアして、他の部署で同じ問題が発生した際に、少しでもその失敗の度合い
を減らす努力を続ける必要があります。
それと並行して、二つのことをしなくてはなりません。
1.外国人従業員に日本語教育を行うこと
2.日本人従業員に英語の拒否反応をなくさせること
もちろん、日本人に英語力を付けることもやった方が良いのですが、一般の
日本人にとっては英語の勉強はモチベーションがアップするものではないので、
英語が好きな人以外には、あまり強要しない方が全体の調和は取れます。
下記は、それ以外のアドバイスです。
1.ツールを積極的に活用すること
日本語の指示内容を、マシン翻訳で正しく行いやすい文脈に作り直す癖をつけましょう。そして外国人従業員にも、私たちに話すときには、シンプルな英語で伝える癖を付けさせることも大切です。
2.社内に英語が使える人財を数人でも抱える
英語ができる人には負荷が掛かりますが、その都度、他の人たちも学んでいけばよいのです。
3.外国人従業員に「問題を解決する仲間」であるという認識を教育すること
外国人の場合、かなりドライに物事を考えるため、その問題は私の問題ではない的
な意識を持ちがちです。日本人の場合、組織として困っていることは、その組織の
一員である人全員の課題であると考えるのとかなり違います。
会社ごとに、背景が違うため、有効な手段はケースバイケースです。
お困りなら是非ご相談下さい。「早めのパブロン」ではありませんが、症状が悪化する前に対策を講じることが重要です。
14.予算オーバー!

一般的に日本企業は、従業員を大事にします。従業員の能力のありなしに関わらず、家族的に大切にする文化があります。
そのため、できる人からすると「なんでもっと私のことを評価してくれないんだ!」という気持ちになりがちです。
特に優秀でやる気のある高度外国人財の場合、自分の時間を割いて、それこそ移動中の狭い飛行機の中で資料を作成したり、まさに「寝る間も惜しんで」仕事をしたりするため、ビジネスクラスを使うことで「部の旅費予算」の枠を超えたとしても、それよりも重要なことだ!という(正当な)理由を持っています。
重要な商談を前にして、経費削減の号令の元、一律予算カット的なことに対して彼らは怒りさえ覚えます。
さて、どちらの考えを優先したらよいのでしょう?
このような場合、日本的には「例外(特例)事項」を作って対処する傾向がありますが、その考え方を改めることをお勧めします。例外(特例)が出来てしまう理由は、『誰かが決めた』予算という枠組みを絶対視しすぎるところから来ています。
つまり、高度外国人財のスタッフも『当事者』として予算決定に参加させるようにすれば、それに従うのも『当事者として』そして改定をするのも『当事者として』行うため、強引な後付けの決め事にならずにすみます。
これができるためには、収支の責任を、それぞれの部署・人に持たせる必要があります。
上手な植木屋さんのように、一律に伸びた枝を切るのではなく、一本、一本枝を見ながら剪定をすることが経営に求められるスキルとなります。
元気でやる気のある、有能な高度外国人財のモチベーションを削ぐことのないようにしてください。
15.報連相

高度外国人財が日本企業に勤め始めて暫くすると、皆口を揃えて「あること」について日本企業のことを褒めたたえます。それは家族的な社内のチームワークについてです。
仕事は一人で成果を上げるものという考え方で育ってきた外国人にとっては、上司でさえ競争相手という意識が微妙にあります。ましてや同じ仕事をする同僚は、仲間ではありますが、ライバルとしての意識がとても強い。
そのため、報連相の重要性を説明しても、何をどの程度したら良いのか、分かったような顔はしていますが、正直さっぱり理解していないという場合が非常に多いものです。
入社して間もない頃は、先輩と一緒に仕事をするので、見様見真似で体得していく人もいますが、そのタイミングでポイントを習得しないと、後々面倒なことになるケースがあります。
ところが冒頭書いたように、日本企業の良さが分かってくると、この報連相がどれだけ仕事の助けになるのか、また同僚を助けることで、どれだけ幸せな気持ちになるか理解してきます。
たしかに日本企業は、劇的な出世や、給与のアップは期待できない仕組みではありますが、会社の中で、さまざまな経験や知識を得ることができ、気の置けない仲間と仕事ができるという環境は、彼らにとっての「外国」で生活することの寂しさや辛さを和らげてくれます。
是非、日本企業の文化を大切にして、なるべく早く彼らに報連相の本質を体感させてあげてください。
そのコツは...。ご相談お待ちしております。(^^)
16.絶対的なギャップ

私たち日本人は、文科省の教育方針に則り、同じ教科書、同じ教育指導要領で判で押したような教育を受けています。国民に「同等」で「一定」以上の教育をするという国の方針はしっかりしていると感じます。
そんな環境で育った私たちは、皆が同じ「基準」を持っているものだと思っています。そのため、それから外れないように生きますし、外れている人を見ると注意をしたり、気分を悪くしてしまいます。
ところが、世界は広いものです。全く違った考え方、教育をしている国もたくさんあります。そんな国から来た人と仕事をすると、お互いに異なった「基準」を持ち合わせていることから、まさに『青天の霹靂』的な事件が起こるものです。
中国から来たとても優秀な高度外国人財に、初めて責任を持たせて仕事をさせたときのことです。定期的にチェックをしながら様子を確認し、本人からも「大丈夫です」という返事をもらいながら締切当日を迎えました。彼女に提出を求めると、全く悪びれる様子もなく「完成はしていますが、チェックはこれからです。」とニコニコしていました。(驚)
彼女が悪い訳ではないのです、「締め切り」に対しての捉え方が異なっていただけなのです。
異文化コミュニケーションを面倒だと感じる人もいますが、未開の地の開拓者の気持ちになって目の前に起こるさまざまな事象(事件)に、楽しみながら対応していく、そんな体験を皆さんにはして頂きたいと思います。
平坦で単純な仕事ではありませんが、開拓をした大地は実りある大地です。
17.それって必要?

「また会議かよ~~」
皆さん、会議の多さに辟易していませんか?長時間拘束され、その上大した報告も情報もなく、また自分に関係のない部署の話も聞かされる...といったことを繰り返している会社の多いこと...。また、会議のための資料作りに、どれだけ多くの時間を費やすか...。
でも、会社の幹部の方々は、その状態に対して何ら疑問を持っていません。どうしてでしょう?それはとても簡単で、「今までやってきたから」という理由で、何も考えずに行動しているからです。
日本企業に働いている日本人でさえこんな感情を持つのですから、高度外国人財にとっては、もっといろいろなところで、「なんで?」という疑問が湧いているはずです。
その質問に対して一々答えるのは面倒かもしれませんが、その感情って先ほどの会社の「幹部」と同じになってしまうことになりませんか?
異文化コミュニケーションの最大のメリットは、自分では気づかないところに光を当てられることです。自分では無意識に放置していたことですから、誰かに質問や意見を言われるとどうしても反射神経的に拒否反応を示してしまいがちなことに、あえて「面白い、そういう視点があったのか!」と受け入れるスペースを心の中に作っておくことで、劇的に世界が広がっていきます。
「嫌だな~」「面倒だな~」という正直な感情を抑えるのではなく、その後に「面白い、そういう視点があったのか!」と気持ちを切り替える癖を付ければよいのです。
ラジオ体操だけでなく、さまざまなことを見つめ直すことで、その価値が分かったり、場合によっては改善の余地が見つかるかもしれません。
あ、これって当研究所では『摩訶珍』と読んでいます。(^^)
18.金のわらじ

とある企業さまでは、東京大学大学院を卒業した優秀な人財を確保するため、入社までの数か月の間、帰国する本人の旅費を出してあげ、帰国した後入社までの間、会社が準備したアパートを寮として提供し、さらに学生寮からの引っ越し代も出してあげていました。
弊社としても「驚くほどの待遇」に、ちょっとドキドキしてしまいましたが、どれだけ企業の未来にとって、能力のある人財を確保することが「重要だ」と考えているかを知ることができました。
ただ「甘やかす」ことは、問題外です。
『年上の女房は金の草鞋(かねのわらじ)を履いてでも探せ』という諺があります。年上の女性は、男性の気持ちを読み取ることに長け、気が利くのため、擦り減らない『金の草鞋』を履いて、方々歩いて探せという意味らしいということらしいですが、お嫁さんにもらったとたん、『浪費家で、三食昼寝付きのぐうたら嫁』だったりしたら目も当てられません。
他社がどうであれ、入社前にきちんとお互いに細かいことを確認しながら、これは「有り」、これは「無し」ということを決めておきましょう。また、それ以外のことについては基本的に「無し」にして、会社の判断として必要である場合だけ別途検討をするというようにしておいてください。
「隣の芝生は青く見える」ため、他の会社のことを例にして交渉したとしても、「ビジネスは契約(約束)が大切なことは理解しているよね?」と冷静に話してください。何事もそうですが、他の会社よりすべての条件が劣っているなんてことはないものです。安心してください。
ただ、NOを突き付けることで、彼らのやる気を削ぐことも望まないことなので、一年後の成果(具体的な数字が必要)次第で、再度その要求についても対応するからと、プラスの要因を残しておけば良いでしょう。
19.突然の辞退

去る者は負わず。
入社日直前に、内定を辞退したいという外国人留学生がいたら、腹は立ちますが気持ちを落ち着けて、心の中で呟いて下さい「入社前で良かった!」と...。
そんな外国人が、永らく貴社で働くはずはなく、成果を上げる可能性も低いからです。それこそキャリアアップのための「踏み台」にされてしまいます。そう考えれば、肺炎にならずに風邪程度で良かったと考えるしかありません。
ただ、なぜ別の会社を選んだのか?を考えることが重要です。
単に「浮気癖」的な人間なら別ですが、貴社を選ばずに別の会社が選ばれたのですから、その「ポイント」を理解することで、また苦い経験をしなくてするかもしれません。
会社の知名度、規模、処遇は外国人留学生にとって魅力があります。でもそれだけが彼らのキャリアにとってすべてではありません。貴社が、採用した外国人の将来の幸福にどれだけ寄与できるかを必死になって考えて下さい。必ず何かあるはずです。それが貴社にとっても武器となり、魅力となるはずです。
20.定型外履歴書

日本の場合には、新卒の一括採用という仕組み上、ある一定期間に膨大な数の履歴書が届きます。100人の採用に数万の履歴書が届く世の中です。日本の大学生の平均的な履歴書の送付数は60通というくらいですから、受け取る方の企業も大変な労力を必要とします。
以前はすべて手書きでしたが、今はプリントアウトやWEB入力といった形式になったことで、とりあえず気に掛かるところには全部、履歴書を送るといったやり方になっているところに問題があるようです。
そのため、外国人から『定型』以外の履歴書が届くと、どっと疲れます。
専門学校では、履歴書の書き方から指導してくれますが、一般的な大学では、一人一人にそのような指導までは行えません。そのため、世界中どこにでも出せるように作ってある「オリジナルな履歴書」を送付してしまいます。
横並びに見る癖がついている私たちからすれば、「こいつら分かってない!」と感じてしまうものですが、落ち着いて考えてみると、私たちはあの《定型》の履歴書の一体何を見ているのでしょうか?
大学名? 学部?
確かに有名大学は難関校ですから、学校の学力的には優れた人たちが集まっているので、そこから選べば少なくとも『可もなく不可もない』人財を採用することが出来ますが、もっと違った視点で学生を見ることも、これからのDX社会では必要になってきます。
定型の履歴書にして提出するようにと、返信をすることも悪い訳ではありませんが、それよりも、彼らの送って来た履歴書の項目に優先順位(3つ程度)を付けさせるように指示をしてみて下さい。本人の価値観が分かり、実際の面接の際に、ポイントを押さえて話をすることが出来ます。
型にはまった人間よりも、パスファインダーがこれからは求められる世の中です。
21.職務記述書

ジョブディスクリプション(職務記述書)は、ジョブ型企業では必須ですが、メンバーシップ型企業の《日本企業》には存在しません。今後、日本企業も『ジョブ型』にも対応できる必要があると言われていますが、それでは今までの『メンバーシップ型』が時代遅れだったのか?または劣った仕組みだったのか?というとそんなことはありません。
日本では、メンバーシップ型が機能してきたからこそ、戦後の復興を奇跡の如く短期間で成し遂げることができたのです。ですから、まずは皆さまには卑下してほしくはありません。
第一、ガチガチに『ジョブ型』の採用をするとなんの経験もない新卒者は、どんなにポテンシャルがあっても採用できなくなります。
採用してから教育を施してくれ、上司や仲間と共に働く日本的な企業の温かさを、多くの外国人は知っています。特に、日本で学んだ留学生は、だからこそ日本企業に働きたいと考える程です。
自信をもって下さい。
ただ、直ぐにでも活躍してくれる優秀な人財を採用したい場合には、ジョブディスクリプションは必要です。しかし、単に業務内容だけを列挙することは絶対に辞めてください。共通の価値観の上に、業務内容があるからこそ、ジョブディスクリプションは機能します。ですから、まずは共通の価値観が何なのかを皆さんは、熟慮して文章化することから始める必要があるのです。
22.転勤なら辞めます

高度外国人をどのように活用するのかは、きちんと事前に「貴社独自のジョブディスクリプション(職務記述書)」の中に記載して、本人と良く協議をしておくことが必要になります。
それをしないから『こんなはずじゃなかった』というガックリ感が、双方に発生してしまうのです。
元々は外国から来たにしても、『居』は日本にあります。ましてや結婚すれば、日本に家族がいる、子供は日本の学校に通っている、伴侶も日本で働いている等々の事情があると、彼らに母国へ帰れというのは、とんでもないオファーになってしまいます。場合によっては『単身赴任』という選択肢しかなく、泣く泣く本当の家族から離れて生活をすることになってしまいます。それが「母国」であっても同じです。
多くの日本企業で高度外国人を採用する一つの理由が、『将来海外の現地法人の責任者として活躍してもらう』ことを期待してですが、私たち日本人の視点からは、とても理にかなっているよう見えても、彼らの多くは日本に住みたいために、日本企業に勤めたのです。そのため、母国に返してあげるというのは『ありがた迷惑』そのものになってしまいます。
さらに、現地で日本と同じ金額の給料を貰えるのであれば、多少は納得しますが、『現地水準』になると知ると日本の給与の「何分の一」という世界になってしまい、突然やる気をなくしてしまうのが現実です。確かに現地で生活するにはそんなにお金はいらないのかもしれませんが、欲しいのは「比較」ではなく、「絶対的な金銭」なのですから、その辺りを良く考えておく必要があります。
つまり高度外国人をどのように活用するのかは、冒頭書いたように、きちんと事前に「貴社独自のジョブディスクリプション」を使って、本人と良く協議をしておくことが必要になります。『こんなはずじゃなかった』というガックリ感が、双方に発生してしないようにしなくてはなりません。
24.何を怒っているの?

とある大きな合唱団の運営委員をしています。コロナ禍で通常通りの活動ができなくなったことをきっかけに、さまざまな問題が表面化してしまいました。
さまざまな提案をしましたが運営委員長からは全く「なしのつぶて」。そのため、問題は解決するどころか、雪だるま式に大きくなってしまいました。
そこで問題を解決すべく、「全員」の運営委員に連絡したところ、とある方から私のことを「癌」扱いするかなり過激な文章が届きました。たぶんその人からみれば、私はそんな存在なのかもしれませんが、あまりにも感情を露(あら)わにした言動に、気分を害する前に驚いてしまいました。
そこで二つのことを学びました。
日本ではなぜか議論をすること自体が、和を乱す存在のように思う傾向がある。活発な議論をしている様子を見て、喧嘩をしていると勘違いするレベルです。そんな人からしたら、どんなに「なしのつぶて」の状態でも、それ自体が平和なため、他からの提案や意見は、安眠を邪魔する『悪』だということ。
そして、もう一つは『激情した人』には、どんなに論理的に説明しても、聞く耳を持ってくれないということです。
とある企業で、涙ながらに大きな声で自分の感情をぶつけてきた高度外国人がおりました。あまりにも感情が高ぶったためか、英語なのか、日本語なのか、母国語なのかがわからない程、言葉にならない言葉を文字通り『ぶつけて』きたそうです。
燃えている油に水を掛けると大変なことになるのと同じで、そんな人に何を言っても逆効果です。とても困っていたため、まずは鎮まるまで「落ち着いて話すように」とだけ促して、あとはずっと聞くようにと勧めました。
また通常、表向きの原因は単なる『火種』で、爆発した『大量の火薬』がどうして溜まったのかを知らないと解決はできません。なぜ『火薬』が溜まったのかを、時間を使って丁寧に掘り起こし対処することから始めることが重要です。
私たち日本人は、無意識のうちに「和」を尊ぶため、理由も分からないような激情する外国人は、まさに「和を乱す人」に見えてしまいますが、新陳代謝のためには、異なった意見は《薬》のような効果を生みます。「和」から排除するのではなく、爆発自体にも意味があると考えて、そのエネルギーが推進力に使えるように対応をしましょう。
25.一人ぼっち

企業にとって、一人、一人の従業員は、単なる部品ではありません。一人、一人が、エンジンであり、一人、一人が頭脳も意志を持ち働くことができます。
彼らにモチベーションを持たせることが、これからの企業経営には必要不可欠です。
日本企業は、今まで「終身雇用」を前提に、丁稚奉公的な扱いを新人に対してすることに、何の問題意識も持ちませんでした。それは、自分もそういう扱いをされてきたからです。ところが、今はどの企業も本当に永続的に従業員を雇用できるかどうかわかりません。また、従業員も定年まで働くことをコミットする人はあまりいないでしょう。
ある意味、時間が限られています。
特にキャリア(将来設計)を自分で作ることが大前提の、外国人たちにとっては、指示待ちで、与えられる仕事も評価されない雑務ばかりとなると、貴重なキャリア構築ができなくなってしまうという、焦りと、焦燥感を感じてしまいます。
また、日本語がそんなに上手ではないため、一人だけで行える仕事をさせる上司も多く、本人のモチベーションは下がるばかりです。結果的に、社内で孤立してしまう。日本人であれば、『石の上にも三年』という気持ちで耐えますが、別の会社で働いている彼らの友人たちは3年もあればマネージャーに昇進しています。
会社の文化はそうそう変えられないと考えるかもしれませんが、難しく考えることはありません。彼らに明確な目標と、使命感を持たせるだけです。マネージャーとしての責務を怠ってはなりません。
彼らに最高の成果を出させることが考えられなければ、「井の中の蛙」となってしまいます。井戸の中から出るころには、未来のような別世界です。
26.語気の強い言葉

同じ日本人でも、関東の人と関西の人とでは、全く表現が違います。
以前、仲の良い関西の友人から『ぼくの「アホ」と言う言葉には、悪意はないので気にしないで...』と言われたことがあるのですが、関東人の私からすると毎回「アホやな..」と言われると、少々気分を害したりしていました。また、逆に関西の人は「バカ」と言われると、とても気分を悪くするのだそうですが、関西ご出身の方々、どうでしょうか?
私たち日本人にとって、中国の人たちの表現がきつく感じるのは、中国語の発音が難しいという理由があるそうです。はっきり発音をしないと伝わらないため、声を大きくせざるを得ないというものです。そのため空港などでは、中国の人たちの声ばかりが聞こえるという状態になりがちです。
さらに感情の表現は、それぞれの文化によって全く異なります。
多くの日本企業の皆さまのお話を伺うと、中国人(大陸出身)や、インド人の高度外国人財の自己主張に「目を丸く」した経験が皆さんあるようです。
そんな時には、初期対応がとても重要になります。まず重要なことは、言葉通りに受け止めないことです。先ほど関東人は「アホやな」という言葉にネガティブに反応しますが、関西人にはそんな意図がないのと同じです。そして、詳しく話をするように促します。すると、さまざまな背景が分かってくるので、それを十分に聞き出し、最後に「どんなことで、その問題が消えるのか?どうして欲しいのか?」を問います。
気を付けなくてはいけないのは、最悪の事態(退職)をこちらから提案しないことです。そこまで望んではいないのが普通ですから...。
27.きちんと説明できる?

多くの日本企業は、整理整頓という言葉を工場やオフィスに掲げています。確かに、整理整頓が行き届いた職場はとても気持ちの良いものですが、それを維持するためには、毎日、毎日、皆で力を合わせて掃除をしたり、片付けをしなくてはなりません。
ただでさえ忙しく、仕事に追われている状況で、掃除をすることを求められるのですから、それに慣れていない高度外国人財からしたら、「私は、掃除をするほど暇じゃない!」と言いたくなるのでしょう。時々、「掃除なんて誰か他の人にやらせればいい。学力レベルの低い人にやってもらえばよいでしょ!」と平気で言う外国人もいる位です。
そこで、アナタの会社ではどう対処していますか?ただ単に、「皆でやっているのだから...」とか、「きれいな方が気持ちが良いでしょ?」とかいった説明をしていませんか?これは、説明にはなっていません。彼らが聞きたいのは、なぜ整理整頓が企業にとって必要なのかということです。それを説明できなければ、仮に掃除をするようになっても心を込めることなどなく、イヤイヤやるだけです。
私たち日本人の文化は誇るべきものですが、それを説明できなければ、異文化の人たちにその価値を理解してもらうことはできません。
整理整頓をすることで、何か問題が起こったときに、原因を追究しやすいメリットがあり、整理されていない状況に比べて、問題を引き起こしずらくなります。
是非、皆さんの言葉でそれが説明できるようになって下さい。

10.recommendation letterって何?

日本企業の場合には、定年や結婚を除いては、会社を辞めることに「円満退職」というイメージはあまりありません。自己都合で転職をするときなど、送別会でさえ開かれないこともあります。
もちろん、家庭の事情でやむを得ず辞めるときには、皆から「大変だね、頑張ってね!」とねぎらいの言葉をかけてもらうこともありますが、一般的な日本の会社のほとんどは、転職は「罪」のような意識があるような気がします。
日本の会社は家族的な面がある反面、その仲間から外に出るということは、「仲間を捨てる」、「仕事を投げ捨てる」...という気持ちになってしまうのでしょう。アイツには良くしてやったのに...という陰口が聞こえてくることさえあります。一種の村社会の発想です。
個人が組織に依存し、実は組織も個人に依存しているのが日本企業だとも言えます。
ところが、『キャリアの責任は自分にある』という考え方に基づく欧米企業の場合、その本人にとって転職はステップアップになるので、日本の企業ほど『湿った』感覚はなく、送り出してあげます。
そして新しい就職先に自分のCV(履歴書)を提出する際には、前の職場から「recommendation letter」をもらい、それをベースにして、仕事内容や、待遇の交渉を行います。そのため「recommendation letter」はとても重要です。そこには、どんな仕事をして、どれだけその本人が優秀かといった内容が書かれます。
もし前職で、不正を働いたり、会社に損害を与えたりしたら、もちろん「recommendation letter」は書いてくれません。ですから「recommendation letter」を書いたことがなくても、しっかり働いて来た人に対しては、書いてあげることが礼儀なのです。
実は「recommendation letter」の仕組みは、退職したとしても、「繋がり」「絆」が生まれるというメリットが生まれます。
面白い話として、元部下がマネージャーをしている会社に、前職の上司が転職した人を知っていますが、応募したときに、その上司が「ヤツが転職したときに、良いことをたくさん書いておいて良かったよ~」と笑いながら話していたことを思い出します。
つまり、世の中、いつ上下が逆転するのか分からないので、辞めていく部下にもきちんとしておくことが大切ということです。
みなさん、心を込めた「recommendation letter」書いて下さいね。
11.宗教と食べ物

日本でも様々な国の人が働くようになり、戒律が厳しいイスラム教の従業員がいる会社では、お祈りの時間を作ってあげたり、社員食堂でもハラール食を提供したりと、異なった文化、宗教を会社全体で受け入れてあげるところが多数あります。
しかし、日本は『雑食』国家のため、街中の居酒屋で一緒にご飯を食べよう!ということになると、折角の努力も一瞬に消えてしまいます。
後から「豚肉」を食べさせられたと、涙目になって怒りをぶつけられると、私たち日本人はどう対処してあげたらよいか本当に迷います。
ただ「無理強い」でもしない限り、これは不可抗力です。それに、何が何でもハラールというのであれば、日本ではなくイスラム教の国で働くべきです。彼らも私たちに彼らの文化を強要してはいけません。
重要なのは『これから』です。
お互いに気持ちよく一緒に仕事をしていく上で、何をしたら良いか、よく話し合って、できることからお互いに試してみることが大切です。
12.早く仕事をさせて!

日本ではジェネラリストを作る教育をしています。なんでもそつなくこなすことができても、これといって優れたものを持ち合わせていない人たちがたくさんいます。
本当は、一人一人個性があり、特徴があるのですが、それを意識させないような教育をしているように感じます。これは管理する側にとって管理しやすいからです。そして特出した個性があると、徹底的に平準化させてしまいます。
本来、天才的な能力があったら、それを徹底的に伸ばす教育をしても良いのに、すべての科目を同じ時間ずつ勉強させ、できないところを、できるまでやらせる...。確かにそれには一理ありますが、平々凡々な人しか生まれません。
ところが高度外国人財の域になると、「●●が優れている」という肩書がすべてになります。つまり他はどうでも良いのです。その肩書にすべての価値があるのですから、それに対してすべてのものを投入します。そのため、自分磨きの教育投資や時間管理もシビアになります。
そんな彼らに、一斉の集団教育のような「日本的」なことを求めると、イライラしてくるのは想像がつくことでしょう。
会社が、その従業員に何を求めるのかを明確にしなくてはなりません。そして、それが本人と合わないのであれば、お互いにエネルギーの無駄になるので、早めに辞めた方がよいでしょう。
でも「●●が優れている」人がいるのに、それを使えないとすると、会社側に問題があると考えるべきでしょう。
13.社内のグローバル化って?

人は、全く予期しない事態が起こると、右往左往してしまいます。
そんなときに大切なことは、呼吸を整えることです。
どんなに時間がない!緊急だ!といった事態であっても冷静に物事を判断できるようになるまで、動いてはなりません。
呼吸が整った段階で、初めて現状判断をするように心がけてください。
今回のような、外国人の新入社員が(私たちから見れば)理不尽な要求を社長に直訴するようなことは、そうそうあるものではありませんが、起こらないとも言い切れません。
そんなことが起こった場合には、冷静に分析することから始めてください。
〇なぜ、そんなことを高度外国人財が言ったのか?
〇会社の現状はどうなっているのか?
〇「根っこ」にある課題は何か?
組織は簡単には変わりませんが、変革が必要なときがあることも事実です。
一刀両断で、直訴を却下し、叱りつけることは簡単です。
しかし、「根っこ」にある課題を放置することは永遠に問題が解決しないことを意味します。
特に、グローバル化という課題について、日本企業はあまり何も考えてきませんでした。ただ、海外で商売ができればよい、海外から調達できれば良いといった「物流」的な発想しかしてこなかったのではないでしょうか?
落ち着いて、グローバル化とはどんなことなのか、皆さんで考えてみて下さい。
そして、その目標が見えたらな、それを実現するためのマイルストーンを作り、一つ、一つ改革していきましょう。
23.共感の大切さ

真面目な人ほど、盲目的に仕事をする傾向があります。特に高度外国人財は、常に上司の視線を意識して、「短期間により多くの成果を出す」という強迫観念さえ持っています。そのため、中途半端な教育や、理解できない話に対して、極端に毛嫌いする傾向があります。
日本人は、子供のころから、面白くない話や、意味の分からない話であっても黙って聞くという習慣を染み込ませているので、頭の中では別のことを考えながら時間を過ごすことに慣れていますが、高度外国人財にとっては耐え難い時間です。
忘れてはならないことは、彼らはより上を目指しているということです。人よりも良い給与、役職を得ることが目標なのです。一生貴社で働くことを心に決めている人はほぼほぼいません。他でより好条件の会社がいれば、転職になんの躊躇もありません。
好条件とは、目先の給与だけではありません。本人の人生設計で「トータルで最も良い道筋」を選ぼうとしていると考えてください。ですから、着実に積み上がる未来をイメージさえできれば、彼らは喜んで残業さえします。
そんな彼らを、貴社の一員として、仲間として受け入れ、一緒に働くためには、彼らと企業理念を共有し、『共感』することがとても重要です。定期的にそのことが体感できるように、仕組みづくりをしていきましょう。